観光モバイルアプリがなぜイマイチ普及しないのかを考える.

背景とかいろいろ省略して,思うことだけメモしておく.

観光アプリが話題先行のものばかりでイマイチ定着していないように見える.

私は iOS での開発は行わないし, iTunes Store での状況もよく解っていない.
けれども,Android 端末は何台か持っているし,Android Market *1でソフトを公開しているので,ある程度の空気感は判っているつもり.

Google Play では,インストール数が公表されている.この数だけ見ても,なんだか残念な観光モバイルアプリが多い.
実際にはもっと酷い状況だろう,開発者には,実際に端末にインストールされている(==アンインストールされていない)ユーザ数として"有効インストール数"という数値も提供されている.
もちろんこの2つの数字には

有効インストール数 < インストール数

なのではあるけれども,たいていのアプリで,

使っているユーザ数 < 有効インストール数 <<< 越えられない壁 <<< インストール数

なのは,開発者なら誰でも知っている.言わないだけ.寂しくなるもん.
こういう前提で Google Play に並んでいる観光アプリのインストール数を見ると,散々たる状況であることが判る.
私は広告業界には疎いのだけれど,ソーシャルメディアマーケティングの散々たる状況と,割と似ているのではないかと推測している.

なんでこうなっているのか?

バッテリーの持ちを考えずに,ハデハデな見た目だというだけ程度の考えで ARを使うのが大きな理由の一つ.
いわゆる「ユーザエクスペリエンス」に対する意識が低い.


もうひとつは,インストールするまでの敷居が高いということ.
その街が観光アプリを用意しているということがわかりづらい.
わかったとして,アプリを検索して,インストールしてみたいなのは面倒だ.


さらに,Android では,それがホンモノかどうかを確認しないと,変なアプリを掴まされて酷い目にあうリスクがある.旅先でそんな事態になったらせっかくの楽しさが吹っ飛んでしまう.

なんでこうしないのか?

QRコード使えばいいのに.いや iOSAndroid も標準で QRコードリーダは持っていないのではあるけれど,大抵はインストールしているでしょう.特に日本人は.

QRコードを使えばいいというのは,スマホ以外のメディア…特に紙媒体…をもっと使えばいいのにということでもある.
観光地なら大抵,紙のチラシがある.特に地図は間違いなくある.これをアプリの導線とすればよい.
偽アプリで悪いことをしたいと思う人が,観光地まで行って大量のチラシをばらまくなんていうことは,有り得なくは無いけれど,費用対効果が全く咬み合わない.

だいたい,観光地散策に必要な地図は,一覧性も大事.
現在位置確認やルート検索ならスマホに軍配が上がるけれど,だからといって紙を捨てられるというほどのものでもない.

各地の観光行政担当者のメディアリテラシがもう少し高ければ,または,既存のアプリの流用で済まそうとせずにもう少し(マスコミでなく)お客さんのことを考える時間があれば,思いつくはずなのだけれども.

*1:ああ,Google Play とかいう名前に変わったのでしたっけ

ITを使うと固定費が変動費に化ける身近な例

ええと,某所で呟いた,ITを使うと固定費を削減できるという話.
ひとつだけ劇的な例を挙げておきます.
「こうするとネットプリントがオレのMacBookのプリンタになるぜ」的な話は,ググればいくらでも見つかるので省略です.

インクジェット複合機を買うのは情弱(しらっ

いやー,物議を醸すのを前提で,しらっと言っちゃいます.


「中途半端に粗めのカラー印刷を頻繁ではないものの定期的にするとか,守秘性が高くて印刷物を監視つきオートロックのオフィスの外に出せないとか,そういう特殊な例を除き,インクジェット複合機は買っちゃダメです

カラーレーザーを買うことを検討するような規模なら,そもそもインクジェットなんて選ばないはずですから,スコープから外します.SOHOか,零細か,その辺りがスコープです.


1枚当たりの印刷コストっていう数字に騙されてはいけません.
インクジェット複合機を持っている人なら誰でも知っているとおり,あの種の製品は,毎日定期的にクリーニングを行います.クリーニングというのは,実は無駄にインクを吹いて詰まりを予防するという,いわば無駄遣いです.

複合機自身のハードウェアの耐久性も,5年前に比べると大幅に落ちています.
インクジェット複合機の寿命自身が以前でも5年程度なので,今比較するのは困難な感じはありますが,比べると一目瞭然です.5年以上前のSOHO向け複合機と最近とでは,プラスチックの質感からして違います.今現役のSOHO向け複合機は,5年持たないかもしれません.


まあ,私の自宅には,ブラザーの家庭用複合機がありますけれどね.
家内や子供たちを情弱でなくするコストと天秤にかけたら,複合機のほうが楽だったという,やるせなく後ろ向きな理由ですが.
ビジネスに縁のない主婦や児童と同じ程度のITスキルなら,インクジェット複合機を選ぶのも止むかたありません.

じゃあどうするの?

コスト削減の常道です.アウトソースです.


これまたこのエントリの文脈に沿った一例でしかありませんが.
セブンイレブンコピー機の(おそらく)全てには,ネットプリントというサービスがついています.ブラウザで登録した文書を,コンビニのコピー機で印刷してくれるサービスです.手間が掛かりそうに思えますが,適切に設定すると,パソコンからプリンタに印刷するのと同じ手順で,ネットプリントのサーバに送れます.

料金は,下記の通りです.
http://www.printing.ne.jp/doc_flow.html
モノクロ20円.高価!!!! 高価? たしかに,コピーよりは高いですよね.
しかし,高いと思う人は,紙代インク代と複合機ハードウェアのコストを過小評価しています.もしくは,それが見合う程度に印刷に頼った商売をしています.もし後者なら,このエントリは大きなお世話です.前者なら…まあ,そういうことです.


ネットプリントの特徴的なところは,ユーザ登録のみならば,無料であるというところです.一定期間ログインしないとアカウントを抹消されますが,その前には案内のメールが届きますので,ログインすればよいだけです.
少し気の利いた人なら,該当するメールが届いたら自動的にログインするようなスクリプトを書いてみたりするかもしれません.

俺,IT詳しくないし,という損.

先に示唆しましたが,ネットプリントは,万人に対する解ではありません.
また,これで削減できるコストは,例えSOHOだとしても大したことはありません.

しかし,ちょっとした工夫で,どう考えても固定費である印刷環境が,(印刷しないならば0円で済むという点で)定義上異論のない変動費になることは,覚えておいたほうがよいはずです.
クラウドブーム以降,初期無料で顧客が成長すると有料になるモデルが増えています.
ベンチャーだけれどIT詳しくないからっていうのは,率直に言って,もったいないです.

ちょっと待って.複合機はプリンタだけじゃないけど

FAXとスキャナですよね.
そういう質問するのは,ITスキル()笑,で固定費をさらに抑制できる余地があるという点で喜ばしいのではないでしょうか.


FAXは常時電源が入っているPC一台あれば受信できます.そんなPCなんて無い? …ならば,取得可能なIP-PBXサービスの導入の検討が考えられます.どのサービスを選ぶかにも依りますが,届いたFAXは,メール添付で受け取れます.(これもサービスに依りますが)FAXの送信も可能です.
「料金がお高いんでしょう?」…て? …ご冗談を.03市外局番つきで,固定費は $5 以下です.円高の昨今ですから,月額 400円くらいでしょうか.
複合機のFAX分とNTTの固定回線の費用と併せると…いくらするのでしたっけ…?


あとは,スキャナでしょうか.
あれは,いいものです.買うべきです.
でも,複合機の中途半端なスキャナに払う金があるなら,専用のを買うべきです.折しも自炊ブーム.よい製品が値頃で手に入ります.
差額は,シュレッダーの購入費用に充てましょう.情報漏洩の予防に取り組む姿は,確実に顧客の心を掴みます.印刷環境よりも遥かに大事です.

IT屋の分際で偉そうに.

はい,そうですIT屋です.だから,一般よりも先に色々試して,失敗しているのですよ.
IT屋たちの累々たる屍の上に,恵まれた世の中があるのですから,生かさない手はないです.っていうか生かさないとしたら,ビジネススキルが問われると思いますよ.

Win32 で repo っぽい環境を作る

先日の失敗のリカバー編.


bash やら Perl やらを適宜組み合わせて,repo 向けの default.xml を引っ張ってきて,それっぽく展開する環境をでっちあげてみた.


現状,pre α版.スクリプトの質がまだまだというのに加えて,msysgit の devel ブランチを使っているので,もしかするといきなり動かなくなるかもしれない.
(msysgit の本家に pull request を出したのだけれど,「ML で議論するのが,ぼくらの普通なの」と返ってきたので,マージをお願いすることについては若干退き気味)

やりかた

まずは msysgit のインストール

msysgit のネットワークインストーラを使う.
動作を確認したのは,msysGit-netinstall-1.7.8-preview20111206.exe.
でももし動かなくなるとするならば,インストーラの違いではなく,このインストーラがアクセスする git リポジトリに起因するはず.だから新しいものを使うのがよいかもしれない.

上記インストーラで普通にインストールする.

msysgit の bashシェルを使って perl などを更新する

bash シェルを開く.
ネットワークインストール版の msysgit は,MSYS 環境そのものを git で管理している.これを応用して更新を行う.

まず,ルートディレクトリに移動する.

$ cd /

ここで,更新のためのリモートリポジトリを追加し,更新を行う.

$ git remote add github https://github.com/monaka/msysgit.git
$ git pull github perl-5.8.8-1-msys
$ git remote add pizza http://bitbucket.org/monaka/msysgit_pizza.git
$ git pull pizza master

いろいろ引っ張ってくるので,ちょっと時間がかかる.

終わったら,ホームディレクトリに戻る.

$ cd

trepo コマンドの実行

trepo というのが,今回作ったコマンド環境.
上記の作業で /bin/trepo としてインストールされている.

ここでは,TOPPERS/ASPカーネルの sh12a_hew ターゲット 1.3.1 相当のものを持ってくる.

まずは,作業場所を作って移る.

$ mkdir hoge
$ cd hoge

リポジトリ定義の XML を引っ張ってくる.

$ trepo init -u http://bitbucket.org/monaka/ngk_repo-sh12a_hew -b asp-1.3.1-1.3.1

つぎに,ソースコードツリーを引っ張ってくる.

$ trepo sync

ドカドカと git を繰り返して,ツリーを作ってくれる.
この例だと, ~/hoge/unofficial ディレクトリにツリーが作られているはず.


ちなみに,repo が使える環境であれば,上記手順を s/trepo/repo/ とすると,同様にツリーが作られるはず.

もし動かないよー,というときは?

Issue Tracker 辺りでお知らせ頂くと反応できる…かも.

msysgitのGIT_EDITORでemacsclientを使う

タイトル通り.
msysgitのcommitメッセージの編集のためにWin32版のEmacs23を使おうとすると辛い.msys のパスは,Emacsでは理解してくれない.

なので,こんな感じのシェルスクリプトを作ると幸せになれる.

#!/bin/bash
/c/emacs/bin/emacsclient $(echo $1 | sed -e 's@^/\([a-z]\)/@\1:/@');

これを MSYS の /bin/emacsclient-git として

export GIT_EDITOR=/bin/emacsclient-git

などする.


けれども,ガチガチのシスアドが居る社内で使っていて管理者権限が無いという場合には /bin に置けない場合もあるはず.その場合は ~/bin/emacsclient-git に置けばよい.
…のだけれども,XP の場合には,HOME が c:\Document and Setting などに置かれているのが一般的で,不用意に GIT_EDITOR を設定すると, c:\Document なんてコマンドはねえぜ,みたいなことを言われたりする.その場合は,

export GIT_EDITOR='~/bin/emacsclient-git'

のようにクオートで括ると幸せになりやすい.

Win32環境でお手軽に repo 環境を実現する実験(失敗編)

repo かわいいよ repo.

というわけで,最近,自前で整理している TOPPERS 系のスピンオフ環境やらなにやらを repo に絶賛移転中なのですが,ふと Win32 では repo 使えないんじゃね? ということに気付かされたわけです.


Cygwin はワタクシ的には論外.HDDに cygwin1.dll を入れるのは小学生までだよねー.
MSYS は Python のサポートがない.うーん.
なんかインストールが面倒というのは嫌だよねー.面倒であればあるほどサポートビジネスは成り立ったりするのだけれど,そういう儲け方って間違えてるよねーやっぱ.


というわけで,しばらく戦術を練っていたのですが,ふとインストールした msysgit が,自分の環境の展開に git を使っていることに気づきました.

コ レ だ

って思ったのだけれど.

Python が解らないなりに,アレコレ repo のソースコードを読み読みやってみたのだけれど….repo って結構 POSIX 前提にしているのね. less を fork していたりとか.stdin/out を O_NONBLOCK にしていたりとか.


less を使っている git が msys 上で動いているのだから,本気出せば移植できるはずとは思うのだけれど,私の実力ではちょっと無理そう.


むーん.だけど,もう repo で取ってくるリポジトリ作っちゃったしなー.
Windows で動かないのではなー.
いまだに HEW とか RVCT とかを有難がっている人たちもたくさんいるしなー.

Ubuntu11.10で JSPカーネルの cfg が動かない件およびその暫定対策 (実務編)

先日は青臭く観念論に走ったので,今日は大人味で,具体的な解決策提示.

バイナリを配ればよい

身も蓋もないですが,たぶんこれが一番早い.

詳細は,下記をご参照のこと.

http://www.toppers.jp/TOPPERS-USERS/2012-January/003624.html

それぞれ,x86_64 と i386 で静的リンクでビルドしている.
カーネルのバージョンに大差がなければ,他のディストリビューションでも動く…はず.たぶん.