リソースの名前

私が書いたと思しき文章が引用されているようなので,言及.

実も蓋もないのですが,リソースの名称や機能の説明は,OSを規定しないで系統立てて説明できません
結構好き勝手に名前付けて呼んでいるのですよね,OS仕様を作るような人達って.
実行コンテキスト*1に限らず.別エントリにもあるようですがミューテックスとバイナリセマフォの差異とか,ドメインという語の使い方とか,そりゃもうバベルの塔状態.


Win32とPOSIXのシェアのおかげで,辛うじてスレッドとプロセスは,事前の擦り合わせなく相互理解ができる可能性が高いとは言えるようです.TOPPERS本での(私が書いた)文章は,この可能性に強く依存しています.
「OSを規定しないで系統立てて説明できないと言っておいて,あの文章は何だ!」と叱られそうですが,TOPPERS本の場合は,ハードウェア技術者や組込みソフトウェア初心者も想定読者という制約がありましたので,フィーリングで理解してもらえるよう緩めに(私は)書いています.「スレッドやプロセスって名前は聞いたことがあるよね? マルチタスクはこれらが肝だってことは知ってるよね? (細かいことは知らなくてもいいよ)」という辺りを前提に置いた感じ.


しかし,組込みソフトウェア技術者として各種OSを比較理解しようと思うのであれば,プロセスやスレッドを定義済み語として扱うアプローチは,本当はあまりよくないです.基準が特定のOSに縛られ視野が狭くなってしまいますので.

*1:レジスタおよびスタックを抽象化したもの