ソフトウェア技術者教育でソフトウェアが買えない矛盾.

守秘があるんだか無いんだか判らないので,ぼかして書く.
全国各地で,公費による組込み教育プロジェクトが流行っているようだけれども,
その中で見たメールに驚愕し落胆したので愚痴る.

1. 某社の開発環境の発注に関して

現在,消耗品で予算化されているが,ソフトウェア購入が消耗品ではできない.
別社に発注予定の教材の付属品扱いで購入したい.

実際の表記は慇懃なものだったけれど,骨子は上記のとおり.


経済産業省は,組込みソフトウェア技術者の育成を叫びながら,ソフトウェアの購入を認めていないこと.
つまり,ソフトウェアそのものに対して価値を認めていないわけだ.
計算機が恐竜の檻だった頃には,そんな空気もあった.まああの時代は,ハードウェアとソフトウェアのメーカは分業が進んでいなかったので,仕方が無い部分もある.しかし,もうそんな時代は終わっている.
育成した組込みソフトウェア技術者は,どうやって自らの価値を創造していけばよいのだろう.
教材を作る側も,うしろめたい.
「あなた方が学ぶことは,実はスポンサーである経済産業省でさえ価値を認めていないことなのだけれども,大事なことなんだ.甘んじて富国の礎となってくれ」
とは言えないし.
学ぶ側だってバカではないから*1,こういうオトナの事情は言わずとも敏感に察知して,別の進路を考えるだろう.



ここまで書いて,大事な注釈.ここでは経済産業省と一括りにしたけれども,このプロジェクトの管轄は情報処理振興課ではない.
それでもまぜこぜにして書いたのは,もうちょっと情振課に頑張って欲しいから.
件の省には,まだまだ縦割りが強く残っているようで,一方,組込みシステムの領域は,従来情振課が守ってきた領域から広がっている.
縦割りを超えた改革がなければ,組込みシステムの国際競争力維持なんて,ありえない.

*1:というか,優秀な技術者になりうる人ほど