社長は悪人に産まれるのではない.悪人になるのだ.

先日当選したサポインの説明会で名古屋へ.

そこで驚愕の事実が判明

説明及び質疑を超訳するとこんな感じ.

使用人的性格を持つ研究者は,人件費を積算することができません.

へ? つまり,社長でかつ開発に担当する人は,開発に参加しちゃダメってこと?

いえいえ,いくら働いて頂いても結構です.単価が0ですので,何時間働いても0円なだけで.

なんで!? なんでよ? 理由は?

社長というのは,業績によって給与を大幅に変動させるケースが少なくありません.時に過大な収入となっていることもあります.
サポイン事業はバイドール条項適用なので,給与の積算根拠が明らかでないとなりません.

つまり,社長ってのは,自分で給料を決める悪い奴だから,働いても対価を払うに値しないってか.


さらに強い不条理を感じるのは,そういう規定は昨日今日決まった話でもないこと.さらに,私はプロジェクトリーダーなので,申請時点で代表であることが受理した側も判らないはずがないこと.せめて申請時点で言ってほしい.

説明会散会後の非公式なお話.

ほら社長,今回の案件でなく,その後のビジネスで回収できるではないですか.開発人件費が欲しくて応募したわけではないでしょう?

うん.まあ制度を決めたのは霞ヶ関だし,各地の経産局のせいではない.気休めを言ってくれたのだと感謝はする.けれど,業績に連動して好きな額を搾取できる連中であると,社長のことを思っているねMETIな方々は.開発人件費が欲しくて…ってソフトにかかる費用の大半は人件費なんすけど.


アイツは悪だと言われ続けると,純な中学生もグレちゃう.同じように,こういう体験が積み重なると,いわゆる"社長"になっちまうんだろうなと思った.

ぐたぐだ言っても仕方がない.

帰りの新幹線でワイン煽りながら頭を整理した.サポインは,ベンチャー支援というよりは,レガシー中小のテコ入れが主目的.いわゆる"社長"が想定されていたりソフトウェア業界が想定されていなかったりする制度でも致し方ない*1
タイムカードに縛られずにビジネスメイキングに勤しめる暇人が,会社に一人できたのだ.前向きに考えて,3月まで突っ走ろう.

*1:もちろんサポインには組込みソフトウェアが含まれていて,故に採択されたわけではある.しかし,初年度の前に構想が漏れ聞こえた頃は,組込み業界内でも「サポイン対象業種の中で,組込みソフトウェアって浮いているよね」って意見は少なく無かった.