口説けない英語

2週間程前に壮大な釣り堀が解放されていたことを,今になってダンコーガイ氏のブログで知った.ちぇ.
氏のエントリ自身は,別段の感想も無い.まあ,そうだよね,真っ当な見解だよねと.

興味深かったのは,そのコメント.


>オープンソースは属人的なものである。



とんでもない。オープンソースにしてもブログにしても、リアクションしてくれる人がいるから公開するんでしょう。さらに、このブログが日本語なのは、それが一番リアクションが得られる言語だからでしょう。つまり、日本人という属地的なコミュニティを前提としている。したがって、属地的な要素は無いとは言えません。
Posted by b
at 2009年06月21日 23:40

「属地的」についてのなんにんかのひとのコメントについて:

あのー日本語云々っていうならそれは「属言語的」では?



ただ、東京が天国であり、その理由のひとつに勉強会(=オフライン)も挙げられるのならば、それは「属地」だけどね。「属コミュ」と言うべきかも知れないけど。



#わたし最近Uターンしたもんでして…
Posted by G
at 2009年06月25日 00:48

>>Posted by G at 2009年06月25日 00:48

>あのー日本語云々っていうならそれは「属言語的」では?



言語って属地的なものでしょう。国際公用語が例外的なだけで。

オープンソースコミュニティって、結局は、コミュニティの参加者のために活動します。オープンソースソフトウェアが日本語に対応するのも、コミュニティに日本人がたくさんいるからです。



オープンソースの利益を得ようとするならば、そのコミュニティに入らないといけない。つまり、「日本人」というコミュニティがオープンソースの利益を得ようとするならば、「日本人」がコミュニティに入らなければならない。これは梅田氏のいうオープンソース的なものについても同様です。アナロ熊のうたが日本語なのはそれを生み出したコミュニティが日本人だったということです。
Posted by B
at 2009年07月04日 07:54
私がちっとも英語を喋れないのは,私の身近で知らない人はいない.国内某ELSに週2回通っていた10年前でさえ,TOEICは550点とかそんなものだった.今なら300点台も夢*1ではないだろう.
でも,日本語圏外のプロジェクトにバグレポートは出せるし,ChangeLog に私のメールアドレスも載る.オープンソースに浸かった連中なら,このことに何の不思議も感じないだろう.属地性を持たなくなったオープンソースコミュニティで交わされているのは,英単語を使った,英語に似た文法を持つ,別の言語だから.
釣り堀に集った某ブロガーの言う通り,フラット化して"偉さ"が無くなりつつあるのかもしれない一方,webにもオープンソースにも権威ってのは残っているので,英語力が必要と主張するOSS開発者もいるだろう.でも断言する.要らない.

"絶望宣教師"梅田望夫氏が何を言おうとも,日本のプレゼンスは十分にある.こちらが日本人だと思えば"Konnichi-wa" "Arigatou"というメールが飛んでくる.英語風言語のあとに ", dayo-ne?" と付いてくる.こんなもの英語っぽいが英語でない.JavaScriptJavaだと主張するのと同じくらいナンセンスな話.
もちろん,日常の言語として英語を使っている連中もいて,たまに本格的な英語で議論が始まるときもある.そのときは,diff を添付する.開発者の目的は,コードを書くこと.必要以上の議論は,誰もが避けたいと思っている.真の公用語プログラミング言語
伝説の Tannenbaum と Linus の泥沼みたいな状態になったら,ニユニユしながら雲行き眺めていればよい.メールベースのOSS開発で,意見を求められることは滅多にない.

そんな私の経験を基にするならば,やはり OSS は「属地的」でも「属言語的」でもない.

P.S.

ああ,八田氏の最近の分類を借りるなら,オープンソースは法的状態と開発形態に分かれるのだった.上記の議論は後者について当てはまる.しかし前者の法的なものを突き詰めようと思うと,実は英語が必要というよりも,知的財産に関する国際法や各国の法規に関する知識のほうがずっと重要になってくる.開発形態も英語の比重は大きくなると予測できるが,属言語的と断ずるほどのものでもないだろう.

*1:悪夢