墨田区産業振興会議 工業部会

議事はつつがなく.
そのうち議事録出るでしょうし,情報公開請求をすれば内容も判るのでしょう.具体的な手続きについては知りませんが.

こんなことをつらつらと考えながら,会議に参加していた.

私が勤めている会社がナニモノなのか…ダメな零細なのか,エッジの効きまくった卓越したチームなのか…さっぱりわからなくなった.


航空宇宙分野に進出しようと,関連ISOの取得を目指しているという.うちはそんなものを全く取っていない.やる気なし子のダメ零細.
同時に,うちはTOPPERS/HRPという,次期H2型ロケットに搭載が決定したらしいOSの開発を行ったし,そのベースとなるモニタプログラムは,うちが(っていうか私が)仕様から完全に作っている.
ISOなんて取らなくても宇宙航空分野に関われる*1.期せずして,自らがその事例になっていることに気づく.


中小企業研究の大御所が「八王子に凄い金属加工のメーカがあって,鏡面加工の精度にJAXANAOJが舌を巻く」という.私は金属加工の門外漢なので見ても判らないだろうけれど,たぶんそのメーカの腕は確かなものなのだろう.
同時に,「その鏡,使う先は,すばる,かな,TAMA300かな」と想像が沸く.私のエンジニアとしてのキャリアパスのスタートは,TAMA300の前身であったTENKO-100.TAMA300についても施設が出来る前からDAQ用の基礎研究的な仕事に携わっていたことを思い出す.20歳そこそこの当時は,宇宙線研(当時)の神田展行さんやKEKの上窪田さんといった,グランドデザインから細かいコードまで書ける素晴らしい方に囲まれて,彼らに少しでも追いつきたいとしか思っていなかった.けれど,ある程度グランドデザインまでできるようなトシになって振り返ってみて,コード職人としてだけ見れば,既にTENKO-100 / TAMA300チームの中で突出していたような気がする.(ああ,自分で言うと陳腐だなぁ.)


少しでも一次請けに,エンドユーザに近づきたいと皆言う.私には気持ちが判らない.近づきたければ近づけばよいのに,と.
IT/ETは特別で他の産業とは違うのだと言う.まあ新興業種だしそういうこともあるかもしれない.でも,IT/ETの産業構造が土木と一緒の多段請け構造だというのも良く知られた事実.しかし,代表含めても5人前後の零細でも,上場相当の企業からの1次請けを中心に据えるのは,ちっとも不可能な話ではない.さしたる努力をした記憶も無い.これも期せずして自らが実例に.

個人的な悩みどころ

個人的な悩みどころ(わからなくなってしまったところ)は,他者の自分への評価が低いことではない.自分に比べて努力していないと思っているわけでもない.細かい比較に多分意味は無い.

判らないのは,目標設定から到達までの到達法.他社が「目指したい」「あの会社がすごい」と言っている領域もしくはその近傍に,さしたる努力をするでもなく強く望んだわけでもなく,しかし結果としては足跡が残っている.その当人,つまり私は,技術者としては Just for fun で歩いてきただけ.経営者としてはボーッとしていただけ.


わからない.


「努力した.才能があった」これは全部不正解.正解だったら鼻高々になれるのになとは思うが,無いものは無い.無念.
「運が良かった,人に恵まれた.時期がよかった」うん,全部正解だと思う.でも,それは分析たりえていないだろうとも思う.


いつか「私が講師をしない理由」でも書いたが,私は私自身の経験を形式知にできていないと痛感する.
判らないものはコントロールできない.制御下に置けないものは本能的に不安や恐怖を感じる.私が勤める会社は,いったいナニモノなんだ?


自らを理解できていないのに委員を引き受けたのは時期尚早だったかとの後悔が頭をよぎる.でもこういう機会がなければ,きっと自身を制御下に置けていないことさえも気付かなかったような気もする.それはもっと怖い.

*1:勿論ISO取得には意義はある.