単語帳クラスター

SOHRA前理事長竹内氏の講演からインスパイアされてみる.次回の墨田区産業振興会議の開催は10月.メモしないと忘れちゃうのよ.
たぶん下流サポインの集積地と言われているところは,どこも似たような状態だと思うので,ネタとして役に立ちそうなら拾ってってくださいな.

なんでも造れるが,何も生み出せない.

おらが村には,全ての産業が集積されている.だから潜在能力はある.自社製品も持てるはず.B to B から B to C だ.

というのがアリガチな主張.

墨田区という枠で考えると,同じ零細工場集積地でも,行政的な思惑で工業集積が進んだ城南地区とは性格が若干異なる.紡績からゴム工業から板金から紙加工から,本当にありとあらゆる工業がある.
…のだけれど,どこもかしこもスペシャリスト過ぎ.解るのは自分の作業だけで上流も下流も解らない.「設計はできません.図面頂ければ量産します」というところも少なく無い.次工程を隣の横丁でやっているかもしれないけれど,連携なんて無い.
プロセスは上流によって適切に管理されており,下流は考える必要なんかない.そういう下流サポインには間違いなく技能はあるのだろう.ただ,それは元請けから独立し自社製品を持つためのスキルとは直交だろう.極端な話,技能がなくたって製品は作れるし売れる.

辞書には例文があるだけマシ.

A to Z,あ から ん.既出の竹内氏は東大阪を指して「辞書」みたいと言った.けれども,辞書には例文があるだけマシに私には見える.
私が墨田区を喩えるなら,単語帳.製品を作るための全てが揃っている.でも繋げる人も仕組みも経験も無い.
顧客のニーズは,複数工程を一括して受託できる能力だったりする.組込み系エンジニアとして廉価帯の製品開発を見ている限り,中国や台湾に仕事が流れるのは,単価が安いだけではない.デザインや品質を問わなければ,丸投げができる体制が整っているから.
顧客のニーズを喩えるなら,熟語帳.単語帳を狙うなら理想的には例文満載の「もえたん」.単語帳をいくら厚くしても文章になることはない*1.例文は必ずしも生真面目でなくても構わない.前後の文脈が繋がっていなくても構わない.読者(顧客)が,この単語(会社)をどのように使うと自分の文章(製品)が魅力的になるかってことが訴求できれば.

もえたん[新装版]

もえたん[新装版]

地域の中小企業センターには,かなりのカバー率で企業情報が集積されている.それは素晴らしい.けれども,異業種横断の検索機能は無く,マッチングの仕組みも無い.まさに単語帳.
紙データを電子化する? それはそれで意味はある.でも,電子化で便利になることと,単語帳から熟語帳になるのとは,ほぼ直交な話かもしれない.

で,どうするの? という話は,また別の話.「まいど1号」が一つの解ではありそうな気はする.でも最適解でもないだろうとも思う.

*1:実のところ,事業者の数は減少傾向.単語帳は薄くなる一方