擦り合わせ産業であるはずのデジタル家電が米国に負ける理由

もちろん仮説.


ものづくり研究では伝統的に日本が得意とされてきた「擦り合わせ」が、デジタル家電や携帯電話の世界で必ずしも機能せず「ガラパゴス現象」を招いた背景に何があるのだろうか。
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ところが日本では家庭用ゲーム機などの例外を除くと、ソフトウェアはハードウェアのおまけだった。開発の多くは外注に出され、会社組織やプロジェクトの単位で意思疎通は分断されたのではないか。ソフトウェアの開発規模がおまけといえるほど小さく、製品の魅力に大きくは影響しない段階では問題とならなかった。ところが半導体性能の飛躍的向上とクロックの頭打ちによって、大規模なソフトウェアに対して機動的に機能を追加しつつ最適化して動作させる必要に迫られて矛盾が顕在化した。
外注に出すことでの分断というのは,それはそれで検討に値するとは思うけれども,id:mkusunok が"負けた"といっているソフトを作っているガラケー屋さんやデジタル家電屋さん*1の共通点は,半導体まで作っていそうな総合電機*2の傘下であるってことがあるのではないかなという気がしている*3定量的な根拠はないのだけれど,開発者の外注化よりも原因としては支配的なのではという気も.


半導体の話題に引きずり込んだのは,"同様に擦り合わせといわれているにも関わらず不調な"半導体業界との相似が疑われるため.

下記引用記事の分析が簡潔と思う.


つまり、技術が得意な者は短期間で技術開発の功績を挙げ、そのご褒美で課長や部長に昇進し、技術には関わらなくなる。その反面、得意な技術ではないマネジメントが仕事になるが、そもそも、マネジメント能力を買われて課長になったのではない。そのため、ほとんどの課長および部長が無能化する。その結果、最も技術的に能力の低い者が、加速度的に難しさを増す技術開発を行わなければならないのである。なんというジレンマだろうか。

以上のようなことから、半導体の組織においては、マネジメントできないマネージャ、経営できない経営者が多数存在することになる。

上記引用では,外注による問題は出てこない.そして,日本の大企業を想像したときに,あまりにも遍在しそうな話である.そして,総合電機の多くは,部門や会社が違っても,人事面で細かいところまで差異がない場合が多い.

半導体は先に沈んでいった*4ガラケーデジタル家電もあとを追っていると考えることもできるのかもしれない.

*1:さらにSIerさんも加えてよいと思うのだけれど

*2:SIerさんも加えるなら総合通信業者

*3:もちろん例外も思い浮かぶ.大局としての話.

*4:もちろん,沈んだままなのかは現時点では判らない